税理士試験科目と税務調査

税理士や科目合格を含む税理士試験受験生の方向けに、既存の税理士試験科目と税務調査の関係について徒然なるままに書いてます。もちろん本日の内容は完全に私個人の感想となりますので異論もあると思いますが、暖かい目でお読みいただけると幸いです。

【結論】税務調査対応として税理士試験に国税通則法が必須

■税理士試験の必須科目である簿記論は相対的には重要性が低いと思います

■税理士試験の税法科目のうち法人税、所得税、相続税、消費税はいずれも重要

■税理士の適切な税務調査対応として国税通則法を理解する重要性は高い

税理士試験の会計科目(簿記論・財務諸表論)の重要性は?

ご存じのように税理士になるためには税理士試験の必須科目として、簿記論と財務諸表論に合格する必要があるのですが、

 

実務家として税理士業務を行っている者として誤解を恐れずに申し上げると、簿記論の重要性は他の税理士試験科目と比し相対的に小さいと感じています。

 

会計ソフトがこれだけ進化している現在では、記帳という技術的な意味合いでの簿記に限定すると、そこそこの認識さえあれば会計帳簿の作成に困ることはほぼないと思っています。

 

逆に会計ソフトがどんなに優れた機能を実装していたとしても、会計データの入力に際し拠り所となる会計ルールを正しく理解しているか否かの知識(つまり財務諸表論の知識)は依然として重要である、と感じます。

 

このような観点から簿記論に関してはあくまで日商簿記検定2級程度のお作法があればよいので、税理士試験の必須科目としては簿記論を除外し財務諸表論のみで良いのでは、と感じています。

 

税理士受験生の属性は様々ですが、ある意味理論ではなく反射神経が試され技術的な側面が大きい簿記論については受験生の大きいな負担になっており、

 

また本来税理士業界が求める税理士像とはかけ離れた合格者を受け入れることにも繋がってしまうことから業界にとっても損失になるのでは、と危惧しています。

 

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税理士試験の税法科目(国税3法等)の重要性は?

税理士試験科目と税務調査

税理士試験の税法科目のうち選択必須なものとして法人税法と所得税法とがありますが、これらを選択としてしまうのは税理士業務の実務的な観点から全くもって理解できません。

 

これらの科目はどちらかを選択すれば良いという科目ではなく、まさに税理士業務の中核となる税法であることからいずれも必須とすべき科目だと思います。

 

更に言うと相続税法についても税理士業務を行う上で、顧問先から突然の依頼がしばしばありますので、選択科目とするのは税理士業界にとって有意なことではないでしょう。

 

同様に昨今のインボイス制度等の税制改正や、国税局や税務署の税務調査状況(税務調査において消費税が重視されている)を鑑みると、税理士にとって消費税法に対する理解は非常に重要と思われます。

 

また消費税法に対する税理士の理解不足により、顧問先より契約を解除され損害賠償まで提起されるケースが非常に多いことから、

 

相続税法と同様に消費税法も速やかに必須科目にすべきと考えます。

 

逆に、各地方税法や国税徴収法については税理士実務を経験していく中で徐々に習得していけばよいのではないでしょうか。

 

ここまで書くと税理士試験受験生の方から、『そんなに多くの科目だと勉強できないぞ』とお叱りの声が聞こえてきそうですが、

 

法人税法、所得税法、相続税法、消費税法のいずれの科目においても、試験問題として細部にわたる論点にフォーカスを当てるのではなく、

 

米国公認会計士試験と同様に、あくまで実務家として申告書を作成する場合に必要となる論点のみにフォーカスを当てた範囲を試験問題にすることで、

 

税理士試験受験生のトータルでの勉強時間は従前と変わらないように出来るのでは、と思います。

 

 

税務調査を意識した税理士試験科目の追加

ここからは私自身が税務調査対応に特化した税理士ですので手前味噌にはなるのですが、税理士実務を考えると国税通則法を税理士試験科目に追加すべきと考えています。

 

先の税制改正で税務調査手続が法定化されたり加算税の加重措置等が施行されていることから、それらの根拠法令となっている国税通則法の理解は益々重要なものとなっています。

 

税務調査においては、法人税、所得税、相続税の法令解釈が問題点となることは少ないのであって

 

あくまで法人税法であれば法第22条の問題、つまり益金計上すべきものを除外していたり、損金計上出来ないものを架空計上していたり、といったレベルの話であったり

 

所得税法であれば収入を漏らしたり個人的な支出を必要経費として計上したり、相続税法であれば相続人の相続財産の一部を敢えて含めなかったり、という点が問題になるのです。

 

つまり税務調査においては、各税法の個別条文における解釈の問題ではなく、『そもそも論』が問題となるのです。

 

このように税務調査を意識した場合、私は税理士試験科目に国税通則法を追加することも必要では、と感じています。

 

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税理士(元国税調査官) 佐川洋一

財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。

 

 

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