税務調査について不満や苦情がある場合どうすればよいのか。その方向性について税務調査専門税理士がご説明致します。
■修正申告書を提出すると追徴本税額について不服申立が不可(更正処分を要検討)
■一方で重加算税については修正申告書を提出しても不服申立が可能である
■税務調査の不満や苦情は基幹署に配置されている納税者支援調整官に申し入れる
一通りの税務調査が終了すると、税務調査官は顧問税理士や納税者に対し国税通則法の規定に基づき、原則として口頭で『調査結果の説明』を行なう義務があります。
なおこれと併せて、税務調査官は顧問税理士や納税者に対し『修正申告等について』という書面を交付することになっていますので、
必ず一読し不明な点等がありましたら、遠慮なく税務調査官に確認することで税務調査に関する疑問や不満を残さないようにしましょう。
なお顧問税理士や納税者が抱く税務調査の結果に対する不満は大きく次の2つに大別されます。
一つ目の不満は『増加する所得(つまり追徴される法人税額や所得税額等)』に対するものです。
勘違いをされている方が多いのですが、この不満は税務調査官の勧奨に基づき修正申告書を提出してしまうと、その後不服申立が出来なくなります。
税務調査官より勧奨された結果ではあるのですが、一旦修正申告書を提出してしまうと、税務調査の結果に納得した上で提出したことになってしまうのです。
したがってどうしても『増加する所得』に対し不満がある場合には、
税務調査官に対し修正申告書は提出しないので職権でもって更正処分をお願いします、と明確に伝えるべきなのです。
二つ目の不満は『重加算税の賦課』に対するものです。
これは税務調査が終了した日から一か月ほど遅れて、納付書と共に重加算税賦課決定通知書が郵送されてくるのですが、
この重加算税賦課決定通知書については、例え修正申告書を提出したとしても一定の期間内であれば不服申立が可能となります。
なお、ご参考として『不服申立制度の概要図』をご参照ください。
いずれにしても税務調査の結果に不満がある場合には、納税者側の権利救済手段として不服申立制度がありますので、
顧問税理士との連絡を密にすることで国税不服審判所に対する審査請求等を検討すべきです。
国税局や税務署の税務調査は、そのほとんどが任意調査と言われるものであることから顧問税理士や納税者の都合を極力聞き入れた上で実施されます。
余程ユニークな税務調査官でない限り、昔と異なり現在では皆さん紳士的な振る舞いをされる方が多いです。
しかしながら税務調査官が有する質問検査権は非常に広範な権限が与えられていますので、稀に無礼な態度で接してくる税務調査官が存在するのも事実です。
そのような場合は、顧問税理士を通し税務調査官の直属の上司である統括国税調査官や所属する国税局や税務署の総務課に苦情を申し入れることを検討すべきです。
さらに基幹となる税務署には納税者支援調整官という役職の方がいらっしゃいますので、そちらに直接苦情を申し入れても良いでしょう。
程度の差こそあれ税務調査を受ける側は少なからず不安やストレスを抱えることになります。
余程の自信家でない限り、納税者一人で税務調査を乗り切るのは本業への悪影響等を考えると得策ではないと考えます。
ましてや税務調査の結果に対する不満や税務調査官個人に対し苦情を申し入れる場合には、納税者一人では不安を感じてしまうことでしょう。
このようなご状況になった場合には、ぜひ経験豊富で信頼出来る税理士に早めにご相談することが大切です。
税理士にも様々なタイプがいますが、私個人的には、『正しいことは正しい、間違いは間違い、と是々非々のスタンス』で話を聞いてくれる税理士が良いと感じます。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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