概算経費率・標準経費率という考え方について税務調査専門税理士がご説明いたします。
■概算(標準)経費率とは業種毎の売上に占める経費の一般的な割合のこと
■例えば小売の一般的な八百屋さんであれば概算(標準)経費率は85%などなど
■税務調査官は現在でも概算(標準)経費率を一つの目安としている可能性はある
税務調査専門税理士の佐川洋一です。今日は「概算経費率又は標準経費率」についてです。
今回は個人事業主の方向けのお話し、言い換えると所得税法の話になります。
若い方はご存じないかもしれませんが、昔古き良き時代に認められていた考え方、
それが個人事業主に対する「概算経費率又は標準経費率」と言われるものです。
簡単に言うと、「業種毎に○○%の必要経費を無条件で認めますよ。」というのもです。
より具体的に言うと「貴方のお仕事は執筆業ですから領収書や支払いの事実を説明しなくても30%を必要経費として認めますよ」という有難いものです。
しかしながら、現在では、個人事業主の場合も記帳を前提とした青色申告が相当数普及しており、
また税制改正により白色申告であっても個人事業主に対し一応の記帳義務が課せられていますので、
税務調査官は、原則として「概算経費率又は標準経費率」を用いて必要経費を認めることはないのです。
税務調査を受けている個人事業主の方若しくは税理士が「経費は0(ゼロ)で一切掛かっていない」と言ってしまえば、
原則として必要経費は一切認められないのです。
逆に言えば、収入の9割が経費として掛かったのであれば、9割に相当する金額を必要経費として計上して良いのです。(もちろん「事実であれば」ですよ。)
つまり現在は、「実態に応じ個人事業主の必要経費を計算する」ということに尽きるのです。
しかしながら税務調査の現場では、「業種的に他の方と比較すると経費が少ない(高い)ですね。」と話す税務調査官も居ます。
そうです。税務調査官は現在でも「概算経費率又は標準経費率」を、一応の目安として頭の片隅で意識しているのです。
ですので、具体的に税務調査の現場で税務調査官と話をしていると、
「領収書はないですが業種的に概算経費率(標準経費率)が50%なのでもう少し必要経費が掛かっていたのではないですか?」
と気を使って下さる税務調査官の方がいらっしゃいます。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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