個人の方が税務調査を受けると一体どのくらい税金を追加で払うことになるのか、についての記事です。ぜひご覧ください。
■税務調査の結果、個人が払う国税としての税金は200万弱にもなる
■税務調査の結果、個人が払う住民税等の地方税も別途200万弱必要
■多くの場合、個人の方が税務調査を受けると一括納付が困難となる
国税庁は毎年『税務調査の状況』を公表しています。
その資料によると、個人の所得税については税務調査一件当たりの申告漏れ所得金額は平均で800万円前後となっています
これは、売上が漏れていたり、認められない必要経費があったりした合計額が800万円ということですので、
支払うべき税金ではありません。この点はご注意ください。
ほとんど全ての個人の方は税務調査官の申告漏れの指摘を受けて、
800万円の所得金額を加算した修正申告書を提出することで、最終的に個人の税務調査が終了します。
では同じく国税庁の公表資料になりますが、
個人の方が税務調査の結果追加で支払うことになる追徴税額はどのくらいかというと、
個人の所得税の場合は、税務調査一件当たりの追徴本税額の平均額が概ね100万円となっています。
なお100万円の追徴本税額のほかに、
ペナルティとして原則10%の過少申告加算税(場合によっては35%の重加算税)と、
実際に追徴本税額を納付するまでの期間に応じ延滞税が加算されますので、
個人の方が税務調査を受けた場合は、
所得税の合計で
100万円+10万円(35万円)+延滞税
の税金を追加で支払っていることになります。
同様に個人の方に対する消費税の場合は、
国税庁の公表資料によると個人の方に対する税務調査一件当たりの追徴本税額の平均額は概ね70万円となっていますので、
過少申告加算税(重加算税)と延滞税を加算すると、
消費税の合計で
70万円+7万円(25万円)+延滞税
の税金を個人の方が追加で支払っていることになります。
なお、令和5年分以降の申告所得税及び消費税を対象とした税務調査において、
帳簿上一定割合(1/2又は1/3)以上の売上の漏れが把握された場合や税務調査官に帳簿の提示をしなかった場合には、
申告漏れ等に対して課される 通常の過少申告加算税・無申告加算税の割合が 10%又は5%加重されることになっています。
税務調査の結果、個人が税務署に対し所得税の修正申告書を提出すると、
その内容は税務署から住民票のある地方自治体に対しシステム的にデータ連携されますので、
自動的に以下の税金も追加で支払うことになります。
■住民税
■国民健康保険料(税)
■場合によって個人事業税
住民税は市区町村が所掌しています。通常は税務調査で増加した所得金額の10%が税率となりますので、
税務調査の結果個人の方の申告漏れ所得金額が800万円だった場合には、
住民税として
80万円
の税金を追加で払うことになります。
また国民健康保険料(税)も同様に市区町村が所掌しています。上限はあるもののこちらも税務調査で増加した所得金額の概ね10%が納付額となりますので、
個人の方の税務調査による申告漏れ所得金額800万円に対し、
国民健康保険料(税)として
80万円
を追加で納付することになります。
最後に都道府県が所掌している税金として個人事業税というものがあります。
これは個人の方の事業による所得金額が290万円を超えた場合に、
その超えた金額の5%(業種により異なる)が個人事業税として課されるというものです。
当初申告所得金額がそもそも290万円以上の個人の方であれば、
税務調査の結果の申告漏れ所得金額が800万円だったとしたら、
個人事業税として
40万円
を追加で納付することになります。
なお下記は税務調査の対象となり易い個人の確定申告書の特徴となります。人気記事ですのでぜひご覧ください。
上で赤書(朱書)した金額の合計である、
400万円前後+延滞税という金額が、
税務調査を受けた個人の方が追加で支払うことになる税金の平均値になるのでは、と思います。
これだけの金額を個人の方が一括納付するのは相当余裕のある方以外は厳しいでしょう。
一括で納付できない場合には、個人の方宛に税務署から滞納の督促状が郵便で送付されてくるのですが、
督促状が送付されてくる前に、
修正申告書を提出した後に税務署であれば徴収部門、市区町村であれば税務課徴収係に速やかに出向くことが大切です。
そこで個人の方ご本人が、一括で納付出来ない旨を徴収官に対し誠実に話すことが重要なのです。
大切なことは分割してでも納税に向き合う姿勢を徴収官に見せることです。
個人の方ご本人がこのような姿勢を徴収官に見せないと、
大切な個人資産を差し押さえられたり、最悪の場合は個人としての業務継続が困難になってしまうので注意が必要です。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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