今回は消費税について税務調査専門税理士がご説明いたします。
消費税の申告義務については大切な基準があります。
すでにご存知とは思いますが、法人経営者又は個人事業主の方で2年前の売上高が1,000万円を超えている場合は、消費税の課税事業者に該当するのです。
このような方は法人税や所得税とは別に、たとえインボイス登録をしていない場合であっても消費税について申告する必要があるのです。
今年の売上高が1,000万円以内であったとしても、2年前の売上高が1,000万円を超えていれば対象となりますので注意が必要です。
税務調査専門税理士として相談を受けていると、法人や個人事業主としての売上高が毎年990万円前後の方が散見されます。
もちろんご商売をされた結果としてたまたまそのような売上高になったのでしょうが、
税務調査官の目線で見ると、「ぜひ税務調査に来てください」と言わんばかりの申告書に思えてしまうのです。
税務調査官は、法人であれば法人税、個人事業主であれば所得税をメインにして税務調査を実施するのですが、最近では消費税についても相当念入りに調べることが多いです。
とりわけ税務調査において潜在的な消費税課税事業者を把握することが重要視されています。
具体的には、法人や個人事業主が申告した売上高は990万円だけど本当は1,000万円を超えているのではないだろうか、との観点で税務調査を行うのです。
税務調査において新たに消費税課税事業者を見つけ出すと、税務調査官にとっては税務署内での評価が高まるのです。
法人税や所得税と異なり、消費税はよそ様からお預かりしている税金(預り金)となりますので、税務調査官としても厳しく納税義務の有無についてチェックすることになっています。
税務調査において消費税の申告義務を指摘されてしまうと、追徴本税額とは別に原則として15%の無申告加算税が賦課されてしまいますので、
法人や個人事業主の方におかれましては消費税についても忘れず申告しましょう。
最後に一点だけ。当税務調査専門税理士事務所では消費税還付申告の是非についてもしばしばご相談をお受けします。
大昔は自動販売機スキームと言うものがあったりして、法律の抜け穴を利用しギリギリのところで消費税還付を目論むことが横行していました。
また一昔前では、『金』などを活用し課税売上割合を作出する方法などもありました。
実は消費税還付については長年にわたり国税側と納税者側(税理士?)とのいたちごっこをしてきた経緯があります。
その都度税制改正や通達によって穴を塞いできたのですが、令和になって今でも消費税の不正還付が後を絶ちません。
税務調査専門税理士の立場で言うと、社会通念上無理のある取引を行うことは、税務調査に直結してしまいますので、
たとえ明確な脱税や違法行為ではないにしても差し控えた方が良いでしょう、と考えます。
消費税還付を得意とする自称節税コンサルタントを名乗る方もいらっしゃいますが、
このようなギリギリの手法は、国税側からすると許しがたい租税回避行為と捉えますので、納税者にとって利することが少ないように感じるのです。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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