【現物確認調査】
税務調査専門税理士の佐川洋一です。今日は「現物確認調査」というお話しです。
税務調査の流れですが、最初に代表者から事業の概況を聴取した上で、次に帳簿調査に進むのが一般的です。事業概況の聴取は世間話しを交えながら行われることが多いのですが、税務調査官の力量はこの時点でほぼ判断することが出来ます。ベテラン調査官ですと話が絶妙です。あくまで自然にさりげなく聞きたいことを質問してきます。
税務調査においては、納税者が作成した帳簿を確認する帳簿調査がメーンになりますが、より納税者の懐に入っていく現物確認調査も重視されています。現物確認調査とは文字どおり、通帳、印鑑や契約書等の重要なもの(現物)を保管している金庫や代表者の引き出し、などを確認する調査のことです。この調査は、もちろん納税者の協力を得た上で実施されることになります。
最近はIT化が叫ばれて久しいので、パソコン自体を確認することが多いです。これももちろん納税者の協力を得た上で実施されるのですが、パソコン内のフォルダーの確認やメールのやり取りなどを目検でチェックします。場合によっては税務調査官が持参したUSBにデータを吸い上げた上で、税務署内で分析することもあります。税務署によっては情報技術専門官と言って、この分析作業をフォローする専門家がいるのです。
元国税調査官としての経験から言うと、パソコン内のデータにこそ真実が存在していることが多いです。パソコンに「申告用の売上表」と「本当の売上表」という2つのフォルダーがあったとしたら、発見した税務調査官はドキドキしながらフォルダーを確認することでしょう。
何らかの細工などをした上で売上を除外した場合、隠蔽又は仮装の事実有りと認定されると、追徴本税額の外に35%の重加算税が賦課されます。この場合、修正申告の対象期間も5年でなく7年になり相当な税負担になります。