法人や個人事業主に対する税務調査と個人的な(プライベートな)生活費との関係について、税務調査専門税理士がご説明いたします。
■税務調査では法人経営者や個人事業主の可処分所得と生活費とを比較される
■役員報酬、事業所得等の範囲内で分相応な生活をしているかどうかをチェック
■税務調査専門税理士の目線で見ると、生活費の質問をする税務調査官は優秀
今日は、事業とは関係ない個人的な生活費についての話です。
法人や個人事業主に対する税務調査においては、しばしば税務調査官から「事業に関係ないこと」を聞かれることがあります。
具体的に税務調査官は法人経営者(個人事業主)や税理士に対し、事業とは全く関係ない支払いである年間の生活費の額(居住用家賃・お子さんの学費・食費等々)を聞いてくるのです。
税務調査対応に特化した税理士として感じるのは、この質問をする税務調査官は仕事のできる場合が多いということです。
当たり前ですが、この質問をする税務調査官の目的は、決して税務調査官の個人的な興味などではありません。
何故聞いてくるかと言うと、法人経営者や個人事業主の「可処分所得」と「個人的な生活費」とを比較したいからなのです。
個人事業主を例にすると、青色決算書上において、年間収入1000万円・年間経費800万円の場合、この個人事業主の年間所得は200万円になります。
そしてこの金額(200万円)こそが、この個人事業主にとって一年間で自由に使えるお金の上限であるはずであり年間可処分所得と定義されます。
当たり前ですが、この個人事業主にとって200万円を超える支出をすることは、家庭が破綻してしまうので、別に借入をしない限り基本的には不可能です。
一方で、仮にこの個人事業主の個人的な生活費が、居住用家賃250万円・お子さんの学費150万円、家族の食費100万円だった場合、合計で500万円となるのですが、
これでは、年間の個人的な生活費の合計額(500万円)が年間可処分所得(200万円)よりかなり多いですね。
普通に考えたら、他に不動産収入や金融所得、あるいは相当額の貯蓄がなければ生活出来るわけがないのです。
税務調査における税務調査官の立場からすると、「ではどうやって生活を維持してるのか?」ということになってしまいます。
なかには「税理士の先生はこの点どう思われますか?」と聞いてくる税務調査官も居ます。
「本当はもっと収入があるのでは?(逆に、本当はもっと経費が少ないのでは?)」と税務調査官が勘繰ってしまうことになりますので、
この点をしっかり説明できないと、結果として税務調査が長引いてしまう事案を元税務調査官としても税理士としても多数経験しています。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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