【法定資料】
税務調査専門税理士の佐川洋一です。今日は法定資料についてのお話です。
法定資料とは、所得税などの規定により税務署に提出が義務づけられている資料のことです。会社員の方にとって身近な法定資料は、何と言っても「給与所得の源泉徴収票」ではないでしょうか。給与の支払者である会社は、従業員本人に対し交付すると同時に税務署や地方自治体に対しても提出することになっているのです。
この法定資料ですが、「給与所得の源泉徴収票」以外にも非常に数多く存在し、平成30年4月1日現在その数なんと60種類もあるのです。例を挙げると、「不動産の譲受け」、「株式等の譲渡」、「先物取引」などは代表的なものと言えるでしょう。
つまり、他の会社での副業は言うに及ばず、投資用不動産や株式の売却益、FXなど先物取引に係る利益などは全て法定資料として税務署に提出されているのです。仮にこれらの所得について申告しなかった場合には、税務署から間違いなくお尋ね文書や税務調査の連絡が来るでしょう。
一昨年ビットコイン等の仮想通貨が高騰し、多くの「億り人」が誕生しました。実は仮想通貨については未だ法定資料の対象ではないため、税務署に対する提出義務が課せられていません。だとしたら申告しなくても大丈夫なのでは、と考える方もいらっしゃるかもしれません。はっきり言いましょう、甘いです。一時、これだけ話題になったビットコインです。国内の仮想通貨交換業者であれば、「法定外資料」という形で全ての投資家の取引履歴が任意で税務署に提供されている、と考えた方が良いでしょう。
このように皆さんの所得は、その大部分が「法定資料」または「法定外資料」という形で税務署に情報提供されていることを忘れてはなりません。