今回は国税局や税務署が保有する法定資料について税務調査専門税理士がご説明いたします。
法定資料とは、所得税などの規定により国税局や税務署に提出が義務づけられている資料のことをいいます。
会社員の方にとって最も身近な法定資料は、お勤め先である法人から毎年1月に交付を受ける「給与所得の源泉徴収票」ではないでしょうか。
給与の支払者である法人は従業員本人に対し交付すると同時に、法律の規定により税務署や地方自治体に対し提出することになっているのです。
この法定資料ですが、「給与所得の源泉徴収票」以外にも非常に数多く存在し令和7年4月1日現在その数なんと63種類もあるのです。
例を挙げると、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」、「不動産の譲受けの対価の支払調書」、「株式等の譲渡の対価等の支払調書」、「先物取引に関する支払調書」などは代表的な法定資料と言えるでしょう。
特定業種の個人事業主が無申告であったり、会社員が他の会社で副業を行った場合などはもちろんのこと、
投資用不動産や株式の売却益、FXなど先物取引に係る利益などは全て法定資料として税務署に提出されているのです。
これらの所得について申告しなかったり過少申告をした場合には、国税局や税務署から間違いなくお尋ね文書や税務調査の連絡が来るでしょう。
近年では暗号資産(仮想通貨)についても、国内の暗号資産交換事業者に対し法定資料として国税局や税務署に提出義務が課せられるようになりました。
また国外の暗号資産(仮想通貨)交換業者に対しても、「法定外資料」という形で多くの投資家の取引履歴が任意で税務署に提供されている、と考えた方が良いでしょう。
このように法人、会社員、個人事業主、投資家など皆さんの所得は、その大部分が「法定資料」または「法定外資料」という形で税務署に情報提供されており、それらの資料が税務調査のきっかけとなることを忘れてはいけません。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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