国税局や税務署から法人に対する税務調査について事前通知を受けた場合、どのような税理士を選べばよいのか?法人の税務調査に強い税理士の見極め方を3つ税務調査専門税理士がご説明致します。
■最も重要なのは認定賞与を回避し代表者貸付金とするための理論武装
■法人の税務調査に強い税理士は『損金』の意味を正しく理解している
■国税局等で法人税に係る税務調査と審理部署に従事した税理士が最強
法人の顧問税理士が認識ない状況下で、本来は法人の収入であるべき売上や雑収入を代表者個人口座に入金し法人の帳簿から除外するケースや
同じく顧問税理士を欺く形で法人の帳簿上架空外注費(実態の無い外注費)を計上し当該支払を一旦は不正加担先である相手先口座に振り込むものの、
その後概ね9割の金額を法人の代表者が現金でキックバックを受けているようなケース
税務調査官が税務調査においてこのような法人の不正計算を把握した場合、法人経営者がどんなに優秀な税理士を雇ったとしても
税務調査において、売上除外・雑収入除外・架空外注費として法人税法上当該金額を所得に加算し法人税の修正申告書を提出することになるでしょう。
更にこれら不正経理により増加した法人の所得は仮想隠ぺいの事実があるものと認定され、追加の法人税額とは別に重加算税の賦課を免れることは出来ないでしょう。
ここまではあくまで法人のPL面(損益計算書)の話であり単純なのですが、
法人の税務調査における実務上の大きな問題点は『法人のBS(貸借対照表)の相手科目(処分)をどうするか』ということに尽きるのです。
結論から申し上げると、このような場合に法人の税務調査に強い税理士であれば、
『BS上の相手科目(処分)は代表者に対する認定賞与でなく代表者貸付金でお願いしたい。』と税務調査官に申し入れます。
この交渉の観点がまさに法人の税務調査に強い税理士か否かを見極める一点目であり、かつ最も重要な点となります。
税務調査において認定賞与とされてしまうか代表者貸付金にしてもらえるかで、法人のトータルでの税負担が大きく変わります。
実際に認定賞与を回避し代表者貸付金としてもらったことで、法人のトータルでの税負担額が概ね2分の1(つまり半分)になることも多々あります。
実は認定賞与と代表者貸付金についてはどちらになるかの明確な基準は存在せず、結局は当該不正資金の使途次第にはなるのですが現実的には簡単に使途が確定出来るケースはほとんどないでしょう。
法人の不正資金の使途についての立証責任はあくまで税務調査官側にあることを踏まえると、
『代表者と法人との間の金銭消費貸借契約書や取締役会議事録を作成するので代表者貸付金でお願いします』と税務調査官に申し出ることは必須と考えます。
実際に過去の判決を紐解いてみても、認定賞与か代表者貸付金かの判断はケースバイケースで非常に微妙であり絶対的な切り分けの基準など存在していないのです。
なお税務調査官に対し、認定賞与でなく代表者貸付金を主張する場合には今後の法人に対する金融機関の融資に影響を及ぼしかねない点には注意が必要です。
法人税法上の課税所得は益金から損金を差し引くことで計算されます。
法人税法上の損金とは、会計上の費用とほぼ同じ概念ではあるのですが、政策的な観点より一部異なることがあります。
さらに所得税法上の必要経費と比較した場合、法人税法上の損金との間では大きな違いがあります。
詳細な説明は省略しますが、一般的に、所得税法上の必要経費は個人格が故に範囲が厳しいものとなっている反面、法人税法上の損金は逆に法人格であるが故に範囲が広くなっています。
法人の税務調査に強い税理士か否かを見極める二点目は、法人税法上の損金について正しく理解しており税務調査官に対しても有効に主張できる税理士かどうか、だと思います。
外資系の大手税理士法人は、主要なクライアントが上場企業であるため大法人を所掌する国税局調査部が実施する税務調査の立会をする場合が多いです。
大法人においては通常株式を公開しており所有と経営が分離されていることから、基本的に法人に対する税務調査において認定賞与か代表者貸付金かの議論は生じないことが多いです。
したがって外資系の大手税理士法人に所属する税理士は、税務調査のBS面の議論(すなわち認定賞与か代表者貸付金かの議論)には必ずしも強くない傾向があります。
またこれら外資系の大手税理士法人の税務調査立会報酬額は一般的な相場と比して驚くほど高額であることから、現実的には検討の俎上に上がらないことが多いと思います。
では法人の税務調査において認定賞与と認定されてしまうリスクの大きい(所有と経営が一致している)同族法人は、どのような税理士に依頼するのがベストなのか?
換言すると、法人の税務調査に本当に強い税理士とはどのようなキャリア・経歴の税理士なのか?
この答えは手前味噌になってしまうのですが3点目として私個人が重視するのは、
『国税局や税務署で法人の税務調査に従事しており、かつ法人税の審理部署にも在籍したキャリア・経歴を有する税理士かどうか?』という点です。
もちろん国税OB税理士に限らず、長年税理士として多くの法人の税務調査に立ち会ってきた先生もいらっしゃいますので一概には言えませんが、
税務調査官として妥協できる部分と妥協できない部分を肌感覚として嗅ぎ分けることが出来る、と言う点では調査経験及び審理経験ともに豊富な元税務調査官の税理士が最適と考えます。
とは言え税理士との付き合いでストレスを感じるようでは本末転倒ですので、対面で直接税理士と会い人間力や会話力などを推し測ることが重要なのは言うまでもありません。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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