初めての税務調査

初めての税務調査と税理士選び

税務調査と聞くと、とりわけ初めて経験することになる個人事業主様や法人経営者様にとっては気持ち的に相当憂鬱になることでしょう。

税法の専門家である税理士でさえ、顧問先が税務調査の対象になると憂鬱な気持ちになりますので、個人事業主様や法人経営者様の気持ちは痛いほど理解出来ます。

元税務調査官である国税OB税理士としてお伝えしたいのは、「初めての税務調査は巷で噂されているほど怖いものではないが、場合によっては非常に多額な追徴税額を払うことになるので事前に税理士と共に税務調査のポイントや流れぐらいは理解しておきましょう。」ということです。

初めて税務調査を受ける場合には、余程自信がある場合を除き可能であれば信頼できる税理士に税務調査の立会を依頼し、税務調査のポイントや流れ・スケジュール等について事前に説明を受けるべきだと思います。

 

初めての税務調査① 消費税と受忍義務

税務調査とは、個人事業主様や法人経営者様が提出した確定申告書が税法の規定に従って正しく記載されているかどうかについて、税務署や国税局に在籍する税務調査官という人が確認する手続きとなります。

 

また、一方で事業を稼動していながら申告していない方、すなわち無申告である個人事業主様や法人経営者様に対しても、申告義務の有無を確認するために税務調査官による税務調査が実施されることもあります。

 

なお税務調査の対象となる税金の種類として所得税や法人税は当たり前なのですが、これらの税金と同様に最近では消費税が非常に重視されています。

 

またこれらの税金のほか源泉所得税や印紙税についても併せて税務調査の対象になっていることを忘れてはいけません。

 

査察部が実施する強制調査と異なり、国税局資料調査課・調査部や税務署が実施する通常の税務調査は任意調査と言われています。

 

しかしながら初めて税務調査を受ける方が誤解してしまう点なのですが、任意調査といっても納税者には法律で税務調査を受ける義務(受忍義務)が課せられていますので、実質的には税務調査を拒否することは出来ないのです。

 

①最近の税務調査においては消費税が重視されていること、②納税者側には受忍義務が課されているので税務調査をいたずらに拒否できないこと、初めて税務調査を経験する方にとってこの2点は理解すべき重要なポイントと言えるでしょう。

 

▶税務調査専門税理士をもっと知る

 

初めての税務調査② 統計的な真実

大部分の税務調査は、事前に不正な申告をしている確たる証拠がない状況で、税務調査官が個人事業主様や法人経営者様の事業所にやってきます。税務調査専門税理士の感覚としては概ね90%ぐらいの税務調査がこのタイプになります。

 

言い換えると、税務調査は申告書に記載されている所得金額が正しいか否かについて念のため税務調査官が確認したいだけですので、初めての税務調査だからといって必要以上に恐れなくて良いのです。

 

一方で残りの10%については、税務調査官側で事前に何らかの不正計算に係る情報等を保有している状況下で税務調査が実施されている、と感じます。こちらの状況ですと、初めての税務調査と言えども内容的に厳しい税務調査になる可能性が高いです。

 

税務調査官が保有する情報には、重要資料、資金資料、探聞情報等々いろいろなものがあるのですが、あらかじめこのような情報を持っているか否かを見極めるポイントはずばり税務調査官の「顔」です。このような情報を持っている場合は税務調査官の顔や態度に余裕を感じることが多いのです。

 

先日初めて税務調査を受けることになった法人経営者の方から、「うちに税務調査が来ることになったのは宝くじで1等賞が当たったような確率なのですか?」と質問されました。

 

税務調査を受ける割合ですが、簡易な接触(手続的には税務調査でなく行政指導と言われるもの)も含めると、個人事業主であれ法人であれ概ね全体の3%程度という数字になっています。宝くじで1等賞が当たるよりは断然高い確率となっています。

 

3%というと『平均すると20年に1度も来ない』ということになりますが、休眠状態で稼働していない法人や事業をしていない方も分母に算入されているのがポイントです。したがって実際には3%よりは高いです。

 

なお参考までに、税務調査を受けた個人事業主様及び法人経営者様のうち、ざくっとした数字で言うと概ね80%程度の割合で修正申告書の提出に繋がるような問題点が把握され、さらに20%程度の割合で不正な申告が把握され重加算税を賦課されている状況です。

 

初めて税務調査を受ける方にとって、このような統計上のデータ(真実)を認識しておくことは税務リテラシーを高めるための重要なポイントの一つと考えます。

 

初めての税務調査③ 所要日数

原則として平日であれば、税務調査官はいつ何時でも突然来ることがあるのですが、大体は事前に電話連絡があり事業所に臨場する日時の擦り合わせが行われます。特定の業種を除けば通常は午前10時前後に開始されることが多いでしょう。

 

初めて税務調査を経験する方から、『果たして税務調査は何日かかるのか?』というご質問をいただきます。稀に「〇〇税理士に依頼したら税務調査が1日で終わった!」という話を耳にすることがあります。

 

しかしながら税務調査日数に係る重要なポイントとして税務調査専門税理士がお伝えしたいことは、税務調査が一日で終わることは無い。』ということです。

 

フリーランスを含む個人事業主様の場合、税務調査官は通常「半日若しくは1日」事業所にやって来るのですが、その後税務署内部で様々な確認(裏どり)作業を実施することから、

 

最終的に調査結果の説明を受け修正申告書を提出し税務調査が終了するまでは、初めての税務調査であれ2回目以降の税務調査であれ平均すると1カ月半から2カ月はかかります。

 

一方で法人に対する税務調査の場合、税務調査官は通常「2日若しくは3日」事業所にやって来ますが、同様にその後税務署内で確認(裏どり)する作業がありますので、

 

最終的に修正申告書を提出し税務調査が終了するのは、税務調査が初めてであれ2回目以降であれ平均すると2カ月~3カ月かかることになります。

 

なお無申告者に対する税務調査の場合には、税務調査の終了まで半年から1年ぐらい掛かることも珍しくありません。

 

また顧問税理士がいる場合には、所得税の確定申告期間中である毎年2月中旬から3月下旬までの間は、新規の税務調査が実施されることは基本的にありません。

 

初めて税務調査を受ける方にとって、税務調査に費やす見込日数を予め認識しておくことも経営者(事業主)にとって重要なポイントの一つと考えます。

 

初めての税務調査④ 専門家との意思疎通

税務調査官の目的は意外と単純であり、結局のところ「売上(相続財産)や利益が漏れてないか?経費や損失が過大計上されてないか?無申告になっているが本当は申告義務があるのではないか?」の3点を確認したいのです。

 

税務調査官と初めて会う前までに申告内容を見直すことは必須ですが、法に触れるような小細工を行うことは避けなければなりません。このことは絶対に押さえておきたいポイントの一つです。

 

税務調査前若しくは税務調査当日にそのような行為、例えば帳簿書類を改ざんしたり破棄するような行為をしてしまうと、税務調査官の心証を悪くし重加算税を検討されてしまことにも繋がるため厳に慎まないといけません。

 

とりわけ初めて税務調査を受けることになった相談者様にお伝えしているのは、「売上にせよ経費にせよ、自信のないところは税理士である私に事前に全てを正直に話してください」ということです。

 

事前に正直に話していただくことによって、当事務所において法令の解釈等について適切で深度ある検討が可能となります。このことは非常に重要なポイントですのでぜひご理解いただきたいです。

 

なお、事前に税務署から電話連絡があった際に税務調査官からは調査対象年度を宣言されるのですが、通常の場合は3年(当初から悪質と思われていると5年)、無申告の場合は5年とされることが多いです。

 

また税務調査の結果、偽りその他不正の行為があると認定されると、最長7年前までさかのぼって修正申告書の提出を求められることがあります。

 

とりわけ初めての税務調査の際には、事前に調査宣言された対象年度分の帳簿書類や領収書等の証憑類を準備した上で、税理士と十分に意思疎通を図ることが重要なポイントとなるのです。

 

初めての税務調査⑤ 税務調査の流れ

通常の税務調査であれば税務調査官は1人で来ることが多いです。しかしながら新人税務調査官の場合は指導役としてベテラン税務調査官と2人で来ることもありますし、

 

国税局資料調査課や税務署の特別調査になると、5人を超える税務調査官が事業所のみならず自宅、セカンドハウス、取引金融機関等に一斉に臨場することも珍しくありません。

 

初めて税務調査を受ける方から、『税務調査の流れがわからない』という声を耳にしますのでこの場でご説明致します。

 

初日午前中の税務調査の流れですが、まずは税務調査官・納税者・税理士の3者による挨拶と世間話から始まるのですが、この世間話からすでに税務調査は始まっていると考えてください。特に納税者の趣味趣向に関する世間話には注意が必要です。

 

挨拶と世間話が終わると、次の税務調査の流れとしては個人事業主様や法人経営者様の事業概況について説明を求められます。ここからが名実ともに税務調査の開始と言っていいかもしれません。

 

この事業概況説明の所要時間ですが、短いと30分程度で終わる場合もありますが、優秀な税務調査官ですと半日程度時間をかける場合もあります。

 

とりわけベテラン税務調査官ですと、この事業概況の聴取には時間をかける傾向があり一連の税務調査の流れの中でも最も重要なポイントと考えている税務調査官も居ます。

 

この事業概況の聴取が終わる頃にはちょうどお昼になることが多く、ここで昼休み1時間の小休止を経たのちに午後からは帳簿調査が開始されます。なお税務調査が2日に渡る場合には、前日の流れを引き継ぎ2日目は終日帳簿調査が実施されます。

 

帳簿調査においては納税者が作成した帳簿書類の内容と申告書に記載した内容とが一致しているか確認することはもちろんですが、銀行の通帳やクレジット会社の月次利用明細書、請求書や領収書、棚卸表、売上・仕入・外注費・人件費等に係る原資記録、なども確認することになります。

 

また場合によっては、パソコン内のフォルダーやメール送受信記録、金庫や代表者の事務机なども確認の対象になることもあります。このような税務調査は現物確認調査と言われるものであり、税務調査官が不正計算を把握する上で重要なポイントとなる調査手法の一つです。

 

また最近は特に若い税務調査官ですと、時間の関係で納税者の事業所で確認出来なかった帳簿書類を税務署に持ち帰り、じっくりと時間をかけて確認する方が増えたような気がします。

 

▶税務調査専門税理士をもっと知る

 

LINE ↓友だち追加↓

税務調査情報をお伝えいたします

お気軽に友だち追加してください

友だち追加

 インフォメーション

お問合せ・ご相談
080-7705-7801

お問合せはお電話・メールで受け付けています。
メールでのお問合せは24時間受け付けております。

​留守番電話になった場合はお名前とご用件をお伝えください。折り返しご連絡いたします。

受付時間/定休日
受付時間

10:00~18:00

定休日

日曜・祝日

アクセス

〒153-0062 
東京都目黒区三田1-4-4-1613

JR恵比寿駅東口より徒歩7分

Menu