税務調査がなかなか終わらなかったり、税務調査の結果重加算税を含む多額の追徴税額が見込まれる場合、税務調査官より「予納しますか?」と聞かれることがあります。
そもそも「予納」とは何なのか。どのような手続をすれば予納は認められるのか?
税務調査官からの申し入れどおり予納をすることでデメリットは無いのか、についてご説明します。
■事前に税務調査官に「国税の予納申出書」を提出する必要がある
■予納することで延滞税の計算がストップするので税負担が減少する
■納税に前向きな姿勢を示すことで調査結果が有利になる場合がある
予納とは、税務調査により追加で納税が必要となってしまう場合に、修正申告書等を提出する前であっても、
その見込税額をあらかじめ納付(予納)することができる制度です。
この予納制度を活用するためには、事前に税務調査官に対し「国税の予納申出書」を提出することになります。
「国税の予納申出書」は顧問税理士がいれば代わりに作成・提出をしてくれると思いますが、
内容的にはとても簡単な書類ですので、税務調査官に聞きながら自分でも十分作成できます。
税務調査官から「予納どうしますか?」との話が無い場合には、追加で納付する税金が多額な時はぜひ予納申出書を提出したい、と申し入れるべきでしょう。
税務調査で問題点があった場合、通常であれば、本税、加算税、延滞税、という3種類の税金を追加で納付することになります。
このうち延滞税については、法定納期限の翌日から実際に納付された日までを計算期間として日割りで税額が決まるのです。
つまり税務調査で重加算税が賦課されるような問題点が把握された結果、追加で納付すべき本税が生じてしまう場合には、一日でも早く追加分を納付した方が延滞税が少なくなるのです。
しかしながら実際は、税務署内での決裁手続を経た後に修正申告書を提出し本税を納付するのが通常の流れとなりますので、
税務調査の結果追加で納付すべき本税額が早々に確定しているにも関わらず、実際の納付日が一か月~二か月後になってしまうことがしばしばあります。
このような場合に気の利いた(管理運営部門を経験した)税務調査官ですと、
「延滞税の負担を少しでも減らすために予納申出書を提出することで予納してはいかがでしょうか?」と納税者側に提案してくれることがあります。
税務調査官は全ての調査内容を統括国税調査官という管理者に逐一報告(署内では『復命』と言います。)しています。
税務調査官は税務調査の内容とは別に、税務調査を受けている法人経営者や個人事業主または税理士が「どの程度税務調査に協力的であるか」という点を気にしています。
この税務調査協力度の目安の一つとして、納税に対する姿勢も考慮されることがあるのです。
税務調査に基づく追徴見込税額が明らかになった時点で、予納申出書を提出し予納を行なうことは、
税務調査官側からすると「ちゃんと税務調査に向き合っている誠実な納税者」として認識されるのです。
税務調査官も人の子ですから、将来的に適正な申告が期待される誠実な納税者に対しては
「この納税者は予納もしたし税務調査に大変協力的なので、細かな問題点については修正申告の対象とせず指導事項に止めよう」
という判断をしてくれる可能性が高まるのです。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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