令和6年以降の税務調査と加算税加重措置

今回は令和6年1月1日以降法定申告期限が到来する所得税・法人税・消費税等の国税に係る過少申告加算税の加重措置、について税務調査専門税理士がご説明いたします。

なお無申告加算税についても同様の措置が講じられていますが、本ブログではあくまで税務調査に伴い賦課される過少申告加算税に絞らせていただきます。

【結論】税務調査の現場での取扱いを見守りたい

■令和6年以降に実施される税務調査で賦課される加算税は加重される場合がある

■税務調査官は税務調査において『帳簿が無い』と言われるのが一番困る

■真実の売上の3分の1以上を除外していた場合、税務調査官はむしろ重加算税を狙う

税務調査による加算税加重措置の概要

法人税の場合は令和5年10月決算期以降の申告書、所得税の場合は令和5年分以降の申告書を対象として、

 

税務調査に伴い賦課される過少申告加算税の税率がより厳しくなっています。

 

具体的な加重措置についてはケース毎に以下のとおりです。

 

■税務調査で帳簿の提示等をしなかった場合

 過少申告加算税(10%又は15%)が10%加重され20%又は25%になる。

 

■帳簿上の売上が真実の売上の2分の1未満だった場合

 過少申告加算税(10%又は15%)が10%加重され20%又は25%になる。

 

■帳簿上の売上が真実の売上の3分の2未満だった場合

 過少申告加算税(10%又は15%)が5%加重され15%又は20%になる。

 

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税務調査による加算税加重措置の目的

令和6年以降の税務調査と加算税の加重措置

本措置の目的は、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履行を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に防止することです。

 

要するに、税務調査を実施する国税局や税務署の税務調査官側の観点で言うと、『帳簿をしっかり付けないと加算税の税率が高くなりますよ』と税制改正することで、

 

納税者が自発的に会計ソフトを使用したり、専門家である税理士に記帳を依頼することにより、日々の取引を記帳して帳簿を一定期間保存してもらいたいのです。

 

税務調査官は、税務調査において納税者から『帳簿が無い』と言われることを最も嫌がります。

 

なぜならば、税務調査とは申告書や帳簿記載の内容が正しいか否かについて確認する作業であるにもかかわらず、

 

肝心の帳簿が無い(つまり帳簿を付けず適当に申告している)と言われてしまうと、税務調査の終結までに多大な時間を要してしまうからです。

 

ちなみに勘違いされてる方もいらっしゃいますが、要求される記帳のレベルこそ異なりますが税制改正により白色申告の方についても記帳義務は課せられていますのでご留意ください。

 

 

税務調査専門税理士が考える実務上の疑問点

今回の10%若しくは5%の加算税加重措置は、あくまで過少申告加算税(又は無申告加算税)のみを対象としたものであり、重加算税については対象としていません。

 

しかしながら税務調査において、仮に税務調査官が真実の売上の3分の1以上の脱漏(売上除外)を把握したならば、

 

たとえ積極的な仮装隠ぺいの事実が存在しないとしても、『ことさらの過少申告』や『外部からもうかがい得る特段の行動』を根拠に、

 

過少申告加算税ではなく重加算税の賦課に向け質問応答記録書への署名を求めてくることが容易に想像できます。

 

そういう意味では税務調査専門税理士としては、税務調査官により真実の売上の3分の1以上の脱漏(売上除外)が把握された場合に、

 

今回の加重措置が適用されるケースは極めて限定的になるのでは、と考えています。

 

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税理士(元国税調査官) 佐川洋一

財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。

 

 

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