税務調査と法人の決算期の関係について税務調査専門税理士が詳しくご説明ご説明いたします。
■税務調査の観点では法人の決算期は10月~1月なのがベストかもしれない
■税務調査官側の事務運営上、2月~3月決算が税務調査で選ばれる可能性が高い
■新設法人の場合、法人の決算期は税理士事務所の都合で決まることが多い
個人事業主は原則として12月末日を基準にして翌年3月中旬に申告しますが、
法人の場合は設立する際に経営者の都合で何月決算にするか自由に決めることが出来ます。
そして、原則として選択した決算月の2か月後までに申告することになります。
更に、設立した後も自由に決算月を変更することが可能です。
ただし、頻繁に変更すると税務調査の対象になる可能性が高まりますのでご注意ください。
さて結論ですが、敢えて言えば、
税務調査のことを考えるのであれば、法人の決算月は10月~1月の間にするのが良いでしょう。
あくまで敢えて言えば、のレベルではありますが。
これは税務調査官の定期人事異動が毎年7月であることと密接に関係しています。
税務署の税務調査繁忙期は毎年7月から12月の間になるのですが、
税務調査先を選定する統括国税調査官としては、
人事評価上の問題もあり、この6カ月の間になるべく多く税務調査を実施し、
良い税務調査結果を残したい、つまり重加算税の対象となるような多額の不正計算を把握したいのです。
税務調査官側のルール上、この最も大切な時期である7月~12月の間の税務調査の選定対象となりやすいのが、
申告書が提出されてからまだ温かい(冷めてない)2月~9月決算の法人税申告書なのです。
逆に最も避けたい法人決算月があります。それは2月~3月の決算法人です。もちろんこれも「敢えて言えば」のレベルではありますが。
2月決算の申告期限は原則として4月末、延長されていれば5月末になります。
税務調査担当部門に回付されてくるのは6月~7月になるのですが、
この時期は税務調査官の定期人事異動前後であり、
7月以降にスタートダッシュをするためにも、統括国税調査官は時間をかけて法人税申告書を分析し、
税務調査の候補となる法人を数多く選定することが多いのです。
さらに通常2月決算の法人は分母である全体数が少ないこともあり、
結果として目立ってしまうので、私見ですが税務調査の対象になりやすくなってしまうのです。
法人の場合は設立時点で顧問税理士に全てを依頼している経営者が多いと思います。
この場合、税理士から『法人の決算月は何月にしますか?』と問われることが多いと思いますが、
業種的に〇月決算にしないと都合が悪い場合を除き、
『決算月は税理士先生にお任せしますよ』と答える法人経営者がほとんどではないでしょうか。
もちろん、それはそれで全く問題ないのですが、
税理士は『では〇月決算で如何でしょうか?』と言ってくるとが多いと思いますが、
それって単に税理士事務所側の都合であることが多いです。
税理士側も決算・申告や税務調査立会の事務負担を考えると、クライアントの決算月を集中させることなく分散したいのです。
財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。
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