【給与所得者に対する調査】
税務調査専門税理士の佐川洋一です。今日は「給与所得者に対する調査」というお話しです。
私の事務所に税務調査の相談にいらっしゃる方は法人経営者あるいは個人事業主が多いのですが、サラリーマンの方も稀にいらっしゃいます。私の経験上、サラリーマンに対する税務調査の方が、「問題あり」となる確率が高いような気がします。というのも、法人や個人事業主に対する税務調査の場合、あらかじめ不正計算などの証拠を持っていない場合が多く、念のため「申告書記載内容の確認」を目的とした税務調査が実施されるケースが多いのです。
それとは逆にサラリーマンに税務調査が来るということは、税務署は何らかの証拠を持っていると考えた方が良いでしょう。よくあるケースとしては、副業、不動産収入、金融資産による利益を申告していないというものです。また、最近は日本だと超低金利のため銀行に預金してもわずかな利息収入しか得ることが出来ません。しかしながら世界に目を向けると、とりわけ新興国であれば高金利を得られるチャンスがあることから、海外の金融機関の口座を開設したい、と考えるサラリーマンが多数いらっしゃいます。
ただし、日本に限らず、その国にとって非居住者となる人に対する口座開設は、今やどこの国でも非常にハードルが高くなりました。仮に海外の金融機関での口座開設に成功したとしても、「共通報告基準(CRS)」という国際的な枠組みが導入されているため、非居住者に係る金融機関の口座情報が各国間で自動的に交換されていることを忘れてはいけません。海外の金融機関の口座であれば税務署は取引履歴を把握できない、と思ったら大間違いなのです。日本の居住者である以上は、海外の金融機関における利息収入についても申告する必要があるのです。