暗号資産(仮想通貨)の非居住者・海外移住者スキームと税務調査

以前に比べると落ち着いてきましたが令和5年になった現在でも、非居住者(海外移住者)となることで合法的に日本国内での申告義務から逃れることは出来ないのか、といったご質問が散見されます。

 

今回はいわゆる非居住者・海外移住スキームに係る記事となります。ぜひご一読ください。

【結論】暗号資産(仮想通貨)の税務調査で『海外移住すれば非居住者』の主張は相当厳しい

■税務調査における非居住者該当性は『生活の本拠がどこか』で決定される

■一年のうち183日以上海外移住してれば良い、は国税の税務調査では指摘が必須

■居住者の場合は、海外で暗号資産(仮想通貨)を利確しても日本で申告対象

前回の復習:暗号資産の海外取引所と税務調査

前回は、暗号資産(仮想通貨)に係る税務相談の中からバイナンス(Binance)等の海外取引所で取引をした場合、

 

その取引に係る利益の確定(利確)は税務署(国税庁)にバレるのかバレないのか、について書きました。

▶(前回記事)仮想通貨(海外取引所)はバレないの?

 

結論から言うと、日本の税務当局である税務署(国税庁)は日々様々な方法で情報収集を図っていますので、絶対バレないなどということはありません。

 

何よりも、日本の居住者である以上は所得の源泉が国外であったとしても課税の対象(全世界課税)となりますので、

 

海外取引所での利益についても税務署(国税庁)に対し確定申告をすべきなのは言うまでもありません。

 

 

今回は、税金対策として非居住者(海外移住)を選択することについての問題点となります。

 

 

仮想通貨の非居住者・海外移住スキームと税務調査官の事実認定

仮想通貨(非居住者・海外移住)と税務調査

この点については、まず法律的にどうなるのか正確に(理詰めで)理解することが非常に重要です。

 

税務調査専門税理士である私の事務所にも多くの方が税務相談にいらっしゃるのですが、

 

ビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)で利益をすでに確定(利確)させていたり、あるいはまだ利確はしておらず莫大な含み益を抱えている状況の個人投資家の皆さんの中には、

 

安易に「海外移住すれば非居住者になるので問題なし。」と誤解されている方が多いので非常に心配です。

 

税務上の非居住者とはどのような概念なのでしょうか。

■海外移住すれば良いのでしょうか?

■一年の半分以上海外に住んでいれば良いのでしょうか?

■日本で住民票を抜けば良いのでしょうか?

残念ながら答えは全て誤りです。

 

詳細を理解するためには、元消費者金融会社のオーナー一族が関係した最高裁判決等を読み込む必要があります。

 

ここで深い議論はしませんが、

 

一言で言うならば「ある人が居住者なのか非居住者なのかは、その方の『住所』がどこにあるかで判断される」ということです。

 

なんだそんなの当たり前ではないか、とお叱りを受けそうですが、この点は実に奥が深い議論なのです。

 

様々なサイトで税理士や暗号資産(仮想通貨)コンサルタントの方がこの点について言及していますが、

 

私に言わせれば、100%自信をもって判断できる方など存在しないと思っています。

 

ここで言う『住所』ですが、これは民法上の借用概念であり『生活の本拠』がどこなのかという客観的な事実で判断されることになります。

 

さらに『生活の本拠』とは、

■住居(住んでいる場所)がどこの国にあるのか

■扶養している家族がどこの国に住んでいるのか

■主要な資産はどこの国にあるのか

■どこの国で仕事をしているのか(どこの国でお金を稼いでいるのか)

等により総合的に判断されることになります。

 

現実的に、日本の税務当局である税務署(国税庁)から、

 

「あなたは非居住者ですから税金払わなくて(確定申告しなくて)良いですよ!」との認定(お墨付き)を受けるのは非常に難しいのです。

 

この点に関し税理士に相談するのであれば、暗号資産(仮想通貨)に対する理解はもちろんのこと、

 

必ず国際税務(とりわけ居住者・非居住者の判定)に強い税理士に相談されることを強くお勧めします。

 

▶税務調査専門税理士をもっと知る

 

 

暗号資産(仮想通貨)の値動き:税務調査とは無関係

昔話になりますが、2018年が始まった途端にビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)が全面的に大暴落しました。

 

その後も、

■暗号資産(仮想通貨)市場に対する規制強化(閉鎖)観測

■コインチェックでのNEM流出事件

■取引所に対する金融庁による業務改善命令等の行政処分

などによる影響もあり長期にわたり市場が低迷していました。

 

しかしながら2020年(令和2年)の後半からはこれまでの低迷期とは打って変わり、とりわけビットコインが急激に高騰(令和3年4月に700万円まで上昇)しました。

 

またこの頃はビットコインの急騰に連られ、とりわけイーサリアムの高騰が目立っていたように感じます。

 

令和5年7月現在は1ビットコイン約430万円前後で推移していますが、

 

個人的には、『今後調整はあるものの比較的長期に渡り緩やかに上昇していくのでは』と楽観的に推測しています。

 

今後再びビットコイン等が急騰すると、利確のタイミングに頭を悩ます投資家の方が増えてくると思われます。

 

ちなみに私の予想は当たらないことで有名ですので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願い致します!

 

私自身は、ささやかな金額ではありますが購入した複数の暗号通貨(仮想通貨)がやっと購入価格ぐらいまで戻ってきました。

 

しかしながら依然としてまだまだ利益が出ている状況ではないので今後も暫く保有したまま静観するつもりです。

 

税理士(元国税調査官) 佐川洋一

財務省主税局勤務のほか東京国税局管内の税務署統括国税調査官や国税庁主任税務分析専門官等を経て退官。テレビ出演、新聞・雑誌等メディアに掲載多数。

 

 

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